懲戒就業規則コンサルタント、社労士(社会保険労務士)のスペシャリストANGELO

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相談事例
懲戒

懲戒(一般事例)始末書の提出減給の制裁功罪のバランス損害賠償

【懲戒、一般事例より】
Q 仕事の都合上、残業を指示したところ一人が拒否をした。それなりの理由があればともかく、ただ反抗しているだけ。他の従業員の手前何らかの処罰をしたいのだがどうだろうか。
A この問題は簡単ではなく、判例も学説も分かれている。
 一つは就業規則や労働協約に残業を義務づける規定があれば、包括的合意があるものと見なして命令でき、したがって違反者は処罰できるとする見解。
 もう一つはそれだけでは命令権は生ぜず、相手方の承諾を必要とするという見解であるが、この場合でも真に業務上必要な残業なら、合理的理由なしに拒否はできないともしている。
 近年の判例からして包括的合意説を採ってよいと思うが、処罰は慎重にすること。いたずらに感情的見せしめ的処罰は労務管理上も逆効果になるので、注意が肝要であろう。
Q 社長の指示も守らず無断欠勤も多かった者が、納期をすっぽかしてしまったためお客を怒らせてしまった。我慢できないので何らかの懲戒処分をしたいと思う。
A 内容からして当然に懲戒処分が妥当である、と言いたいところだが、実はこの会社は就業規則が無い。かなり以前に社長が簡単な規則のようなものを作成はしたらしいが、監督署に届けてもいないし社員に公開してもいない。
 国家においても法で定めていない事柄で処罰することは出来ないように、会社の法律である就業規則で定めていなければ懲戒処分は無理である。
 就業規則というものを軽視する会社や経営者もまだあるようだが、これは会社の法律である。法律のない国家は国家としての体制を維持出来ないように、法律のない会社はこのケースのように社員に対して適切な対応がとれず、常に組織が崩壊する危険性を内在する。社員側としても寄るべき法的根拠がないのでは安心して働けない心理に駆られるから、その意味でも組織崩壊の危険性は加速される。
 就業規則とは、組織である以上絶対に定める必要のある会社の法律であり、また、適当なサンプルに加筆してお茶を濁すような、いい加減なもので済ましてよいものではないのである。
 なお、補足すると相談のような事例によって何らかの被害を会社が被った場合、国家の法によって損害賠償を請求することは可能である
Q 残業を頼んでもしょっちゅう拒否をする従業員がいる。機嫌が良いとやってくれるのだが、気に食わないとやらない。この程度ではクビにもできないだろうし、どうしたらよいだろう。
A 指示したその残業が合法な36協定の範囲内なのか否か、本人の拒否が正当な理由に基づくものか否かによって判断は分かれる。
 指示した残業が合法の範囲内であり、本人の拒否に客観的に見て正当な理由がないのであれば就業規則違反、あるいは就業命令違反として懲戒処分に出来るし、場合によっては懲戒解雇もやむを得ない。(ただし解雇予告や予告手当を支払わなくてもよいか否かは別問題。)
 労働者の権利意識の高まりとともに、わがままな労働者が増えているのも事実で、このような者には厳しい対応も必用だろう。労働者側に立った労基法改正ばかりでなく、使用者側に立った改正も必要な段階になってきていると、私などは思うのだが。
Q 当社では、通勤に際して、車やバイクでの通勤は一切認めていません。駅から比較的近く、交通の便もよいのでそのようなものを使わなくても何も問題はないのです。そんな中、先日、無断でバイク通勤をしてくる常習者に対して厳重な注意をし、就業規則に則り、3日間の出勤停止を命じました。少し厳しすぎるかな、とも思いましたがいかがなものでしょう?
A 3日間の出勤停止はやや厳しすぎる感はありますが、その毅然とした経営者側の姿勢というものは評価できると思います。会社が駅の近くだから車通勤やバイク通勤を禁止しているという姿勢も、経営者としての責任を十分感じられる態度だと思います。
 通勤手段をどうするかは、原則としては本人の自由ということになるのでしょうけれど、必要もないのに乗ってきた車をどこに留めるかの問題もあれば、行き返りの本人の被害事故あるいは加害事故、近隣への迷惑などを考え、更には、大切な従業員を預かる経営者としても、事業を通じて地域に貢献する事業主としても、必要な規制は当然でしょう。もちろん、それに違反した者への制裁も、むしろ本人のためになることです。
Q ウチの会社は駐車場がなく駅からも近いため、自動車通勤は禁止にしている。先日面接にきたものにもその旨伝え、採用したのだが、隠れて自動車で通勤し、近くの他の会社の駐車場に無断で駐車していたらしく、その会社から苦情がきた。面接の際にあんなに念を押しておいたのに許せない。是非解雇したいのだが。
A 気持ちは分からないではないが、ざんねんながら、そのくらいの理由でいきなり解雇にするのはできないでしょう。
 まずは始末書などを提出させる程度にとどめておき、様子を見るべきです。それでも改まらないようならば、減給の制裁などの懲戒処分を行ないましょう。そして、反省させ、また様子を見ることです。それでも改まらないような場合に初めて解雇という最終手段に踏み切ること。
 つまり、段階を経るべしということです。

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【始末書の提出】
Q 先日、当社の社員の一人が、取引先に迷惑をかけたので、それを理由に始末書の提出を求めたのですが、提出を拒み続けております。なんとかならないでしょうか?
A 就業規則にはどう記載されていますか。それが提出を強制できるかできないかのポイントになります。
 記載されていなくても、上司の指示命令に従わないということは、労働者としての義務違反ではありますが、しかし、就業規則等に明文がないとすると、強制するのも難しいでしょう。
 会社側が始末書を提出させる目的は、本人に反省する場を与え、人間的に成長してもらうところに意義があるわけですから、上司としての毅然とした態度を堅持しながらも、よく話し合いをしてみる事です。

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【減給の制裁】
Q 就業規則違反者について向こう半年間、法定の範囲内の減給処分をしたいと思うが、問題はあるだろうか。
A 減給処分については1回の減給額が賃金の1日分の半額以内、かつ総額が1カ月の賃金の10分の1以内、という定めがあるので、その定めは守らなければならないが、減給期間については定めがない。したがってその処分を半年間続けることも一応は容認されると解釈してよい。
 ただし1カ月のみでなく、何カ月も継続処分とするにはそれなりの合理的理由がなければならず、客観的に判断して行き過ぎとならないよう、注意が必要である。
Q 無断欠勤や遅刻早退が多い人間がいます。いくら注意しても改まらないため、給与を下げようと思うのですが、どのような点に注意すればよいでしょう?
A そのような人間には当然、厳しい処分を下した方が他の従業員のためにも良いでしょうけれど、ちょっとまってください。その前に考える事はありませんか。
 無断欠勤はともかくとして、遅刻早退の多い場合、その理由の多くは会社に行きたくない心理の働きによります。
つまり、仕事の適正、人間関係、身体の問題などなど、何らかの問題が内在しているということです。それをほっておいて処分にばかり走っては、かえって事は悪化するばかりでしょう。
 それに、懲戒処分として給与を下げることは原則できません。労働基準法で減給の制裁、という懲戒処分を認めていますが、これはあくまで一時的なものであり、しかも1回の事案につき1日の平均賃金の半額、1賃金支払期における複数の事案の場合には、給与の10分の1を超えて減給する事は許されません。
 「灯台下暗し」ということもありますので、本人の性格の問題以外に会社の体質や上司の態度などにも気を配りながら、処分に対しては慎重に事を進めることをお勧めします。
ただし無断欠勤の「無断」の部分は、なんにしてもよろしくありません。これは理由の如何にかかわらず、本人のためにこそ厳重注意なり制裁が必要でしょう。

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【功罪のバランス】
Q 重大な背反行為が発覚したのでしかるべき処分をしたい。しかし長年会社のために尽くしてくれた人物なので情において忍びない。どうしたらよいだろう。
A このようなことは難しく考えようとするといくらでも難しくなる。あまり難しくせずにやはり基本から考えてゆくのが良いようだ。つまり、
 イ、先ずは就業規則に照らしてその罰則規定に基づき、情実を廃して処分を決定する。
 ロ、その上で、永年勤続その他の功績をなるべく具体的に列挙し、例えば「以上の功績により一等を減じ本来の処分より一段軽い処分とする」と最終決定する。
といったことを基本として、他の状況があればそれに応じて若干の修正をすればよい。
 気をつけるべきことはいろいろな事情でうやむやにし、曖昧にしてしまうこと。経営者がこのようだと就業規則の権威はなくなり、組織のタガはゆるみ、やがて経営者自身の権威もなくなって、活力のないだらけた組織になってくる。

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【損害賠償】
Q 従業員が会社の車を私用に使って傷をつけた。一応自動車保険で修理するのだが、免責額その他会社が被った損害の賠償を給与から天引きしようと思うがどうか。
A それは出来ない。
 いったん給与の全額を支給してから、賠償額を請求して支払ってもらうならよいが、天引きは出来ない。
 相手が了解すれば良いのではないかという見解もあるが、判例の多くは認めていないので、出来ないと解釈しておくべきであろう。
Q 本人の不注意によって会社の車に損害をこうむったので、その金額を給与から差し引いたところクレームがついた。なぜだろう。
A このような金額の給与天引きは認められていない。先ずは本来の給与を支給して、しかる後に本人から賠償額を支払ってもらうという順序を踏まないと法に違反する危険がある。

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