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相談事例
人使い
|遅刻|社員のプライベート|朝礼の有効性|仕事の進め方|
|組織相応|派閥|反抗的な社員|パートに関して|
|人事考課|人事制度|社員研修|トップと経営|
|契約期間社員|権利について|
【遅刻】
- Q 遅刻を頻繁にして困る従業員がいる。何度注意しても直らない。どうしたものか。
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A この種の問題は、思うほど複雑ではない。
このようなケースのほとんどが、生来の性格の問題か、朝起きられない体質の問題か、あるいは会社に出てくることが嫌になっているか、の、いずれかだからだ。もちろんこれらの複数が絡み合っている場合もある。
生来の性格の場合は直ぐには改まらないことを覚悟で気長に矯正してゆくか、かなりの電気ショックで立ち直らせるかだが、ショック療法はその場限りになりそうだ。
体質の問題なら目覚ましを布団の回りに100個ほど並べるか、10トンほどの大石を頭上にぶら下げて時間になったら落ちてくるようにすればたいていカタがつく。
問題は出勤が嫌になってきたケースだ。以前はそうでもなかったが最近遅刻が多くなったという場合は、ほぼ間違いなくこのケースである。このケースに注意や叱りは効かない。むしろ逆効果でさえある。この場合は真剣になって相談に乗ってやらなければならない。必ず仕事上かプライペートなことで悩みがある。そこを理解し解決してやらない限り改まることはないと知ることだ。具体的にはケースバイケースで相談されたし。
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【社員のプライベートについて】
- Q 会社として、社長としてはどの程度従業員の私生活に踏み込んで良いものかを教えてほしい。
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A 模範的で無難な解答をするなら個人の秘密に関すること、プライバシーに関することには踏み込むな、ということになるが、それでは良い人事管理、労務管理は出来ないと私は思っている。ましてやその人物を育ててやろう、指導育成してやろうと思うとき、当人の性格や主義主張、顕在能力から潜在能力等はもちろん、友人関係や育った環境、現在の家庭環境から今抱えている問題などなどまで、細大漏らさず知っておく必要があると思う。 戦後の経済界の重鎮で経団連会長も務めた土光敏夫氏は、東芝会長時代『昨今の管理者で部下一人一人の家族状況や悩みについて知っている者が一体何人いるか!』と叱咤したそうだ。会社の金を使い込みされてから、あんな奴だとは思わなかった信用していたのに、などと言っているようでは、そもそもリーダー失格ということである。
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【朝礼の有効性】
- Q これまで長年朝礼をやってきたが、どうも無駄なような気もする、止めようかとも思うが意見を聞かせてほしい。
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A 朝礼は日本独特とは言わぬまでも、かなり特殊な慣行らしい。
その理由はどうやら農耕民族としての日本人の特殊性によるものらしい。狩猟民族としての欧米などでは若い働き手たちが団体を組んで狩りのための仕事場に出掛けたが、私たち日本人は家のすぐ前が田畑という仕事場だったし家族全員が働き手でもあったから、文字通り家族的ぬるま湯の中でなんとなくだらだらと仕事をしてきた。
その意識は会社という仕事場に出掛けて働くようになった今日においても抜け切れない。そこでそのぬるま湯感をふっ切らせケジメをつけさせる意図をもって始められたのが、朝礼というものであるらしい。
「どうも無駄だと思う」ということは、朝礼が朝礼としての機能を果たしていないということであろう。ならば止めるのもよいが、朝礼の意図を考え直して、本来の意図に沿った朝礼の方法を検討してみるのも、悪くはないのではないだろうか。
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【仕事の進め方】
- Q うちの従業員たちはいくら教えてもきちんと出来ない。なぜあれほど教えても分からないのだろう。
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A 料理の先生がこんなことを言っていた。料理教室でいくら教えても先生と同じ味を出す者はいないのだそうだ。
それは無意識のうちにこれまでの知識や経験を加味してしまうからだという。一つまみの塩といっても一つまみの先入観が違う。材料の下ごしらえも火加減も水加減もそんな調子だし、味覚の先入観すら異なるから、出来上がったものは10人10色になってしまうのだそうだ。
だから60点も取れればまあまあ、あとは自分で工夫し勉強しながら上達してゆくのだという。
仕事も同じことのようだ。上司が期待した100点のうち、60点も取れれば上出来。あとは自分で学習し工夫し、経験を積んで上達してゆく。指導や教育はその基礎、土台ということであろう。
何でもないことのようだが、こういうことを踏まえて指導するのでないと、上と下の間に心が通うことはまず難しい。
- Q どうも早とちりで困る者がいて、いくら細かな指示をしても間違ったことをやってくる、何かいい思案はないだろうか。
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A ばかばかしいくらいに簡単な妙案がある。
復唱をさせるということだ。指示をしたら当人に必ずそのことをオウム返しに復唱させるのである。これは効果がある。勘違いしてしてもすぐにその場で修正が効く。指示書を渡すという手もあるが重要なことならともかく、簡単なことや急ぎのことで一々指示書というのも面倒だ。ぜひその都度復唱、ということを試してみられたい。
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【組織相応】
- Q あるところの紹介で大きな会社に勤めていた優秀な人材を採用したところ、期待に相違して役に立たず、結局本人から辞めていった。どこに問題があったのだろう。
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A よくある話と言ってしまえばそれまでだが、これは本当によくあることのようだ。
優秀な人材を求める気持ちは十分理解できるが、実はそこに問題がある。
『組織相応』という言葉を以前にも取り上げたことがあるが、昔から組織における人材を考えるとき、この言葉は重い意味をもってきた。
つまり、組織には組織相応の人材が集まるものだし、また、組織相応の人材であってこそ、その組織では役に立つということだ。
組織に不相応の人材ではたとえ優秀であっても、いや、不相応なほどに優秀であればあるほどその組織の水には合わず、仕事内容にも合わず、人間関係もうまくゆかずに、結局その組織にも本人にも悲劇的結末となる場合が多い。
もちろん何事にも例外はあるもので、うまくいったケースも何例かは知っているが極端に少ない。組織相応に集まった人材を育てることである。育ててワンランク上の組織になれば、次にはその組織相応の人材が集まってくる。こうした努力の積み重ねの上に、やがて、当初は考えられもしなかったほど優秀な人材の集まる組織に育ってゆく。組織とはそうしたものだ。
- Q 優れた人材をとおもっていたところ人材銀行から、大企業でかなりの地位にあった高齢者を紹介された。採用をと思うのだが以前、斎藤さんが組織相応と言っていた言葉を思い出し、どうしたものかと迷っている。
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A どうやら既に話も進んでいたようなので、賛成はしないが反対もしないので採用してみてはどうかと答えた。
「組織相応」とは、以前にも取り上げたように、西郷や勝海舟、吉田松陰などに多大に影響を与えた佐藤一斎という人の言葉であって、組織のレベル以下の人材も困ったものだが、組織レベル以上に飛び出た人材は、組織から浮き上がるか組織を引っ掻き回す存在となる危険性があるのでこれも困りもの。高望みはせずに組織相応の人材でいいんだよ、といった意味の言葉である。
まあ、物事には何でも例外があるもので、不相応に優れた人材を入れても過不足なく収まっている例もあるから、一概に決めつけるわけにはゆかないけれど、アドバイザーとしてのこれまでの体験からしても、かなり真理をついた言葉ではあると思う。
でも、経営者としていろいろな経験をするのも良いと思うので、飛び抜けた高給での優遇など、わざわざ火種を作るようなことは控えることをアドバイスして、様子を見ることとした。
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【派閥】
- Q パートの女性社員が大勢いるのだがよく観察してみるといくつかのグループに分かれているらしい。いろいろ問題を起こしそうなので解散させたいのだが…。
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A 放っておけばよい。解散させる必要はない。
このような自然発生の非公式(インフォーマル)グループというのは解散させたところで直ぐまた出来る。女性なら6・7人もいれば一つや二つのグループは出来て当然と思った方がよい。
したがって解散やつぶすことを考えるのではなく、グループのボスをどう遇するかに気を使うことだ。誰がボスかは比較的容易に分かるから、出すぎた行動は厳しくクギをさしながらもボスとしてのメンツは立て、例えば仕事の打ち合わせや相談も先ずは彼女らと相談するなどの配慮を見せるとよい。
なお、どのグループにも入らない一匹狼が必ずいることも忘れてはならない。一匹狼には能力があり知的水準も高い者が多いから、その存在を知らないでいるとしっぺ返しが恐い。
もう一つ、このようなグループは複数あった方がよい。拮抗する複数のグループの上に上手に乗ってリードする。
それが出来るようになればリーダーとして一人前である。
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【反抗的な社員】
- Q 採用後しばらくは素直でよい若者だったのだが、最近はやたらに反抗的で、上司の指示にも従わない者がいる。間違った指示には従わなくてもいいんだなどと言っていたという報告もある。どう処理すべきか。
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A そういうやからには就業規則に則って断固とした処罰をしてよい。
大目に見て甘やかすことはかえって当人のためにならず、当人をダメにしてしまう。
上司とは上の司(つかさ)、つまり上の役目の者という意味であり、部下の部とは組織の単位を指すから、部下とは組織の下位にある者ということになる。
この上司と部下をつなぐものは指揮命令である。つまり上司には部下を指揮命令する権限(指揮命令権)があり、部下には上司の指揮命令に従う義務がある。
部下の立場にある者はこの義務を守ってこそ、始めてその反対給付としての賃金受給権が発生する。すなわち義務を守らないのであれば、賃金を受給する権利もないというわけだ。
もちろん不条理な指揮命令には異議を申し立てることが出来るが、それは客観的に判断しての不条理でなければならない。
自分の主観からの判断で上司に従わない、あるいは反抗する部下が、“労働者甘やかし労働法”の影響もあり、昨今は多くなってきている。上司は労基法その他の労働法を守った上での、毅然とした対応が要求される。真に部下の成長を思うなら、甘やかしは厳禁だからである。
なお労務管理上から言えば、最初は素直でよい若者だったという点が気になる。このような場合、何か原因があっての態度であって、その原因を取り除いてやれば元の良い若者に戻る可能性が充分にある。
一つ時間をかけて個人面談をし、その原因を突き止める努力をしてみてはどうだろう。それも上司の権利であり義務だから。
- Q 何かと社長の私にかみついてくる社員がいる。首にできるだろうか。
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A 何かとかみつくというだけでは無理があるだろうけれど、明確な就業規則違反があれば懲戒処分にしてよい。それが重大であれば解雇もOKだし、一度だけでは解雇は無理な軽事由でも繰り返されれば重大違反となりうる。今回の件は本人にあまり悪意はなく、社長が過敏反応したようなのでもう少し様子を見るようアドバイスし、必要があれば当方が本人をカウンセリングしてみることとした。
実はこのようなケースはかなり多く、このようなときは、“あいつさえいなくなればうちの会社もよくなるんだが”と思いがちだ。でも2:6:2などという言葉もあるように、実際には常に、有用人材とまあまあ人材と無用人材に分かれる。無用の二割を首切っても、なぜかまあまあ人材のうちから二割ほどが無用人材に落ちてくる。
恐らく、10番目9番目の者がいなくなれば、8番目7番目だった者が最下級となり本人もそう意識する。今までは自分より下がいたが今は自分達が最下級だ、と。この意識は当然自尊心を傷つけられやる気に影響する。こうしてやがて、本当に最下級の無用人材になり下がってゆく、ということなのだろう。
二割の無用人間はいてよい。無用人材の存在自体が有用なのだと達観しては如何。
- Q うちの会社に一人、何かにつけて突っかかってくる者がいる。一人のときはおとなしいのだが、仲間と一緒のときは何故か反抗的になる。どうしたらよいだろう。
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A どうやらその人物は、仲間に格好の良いところを見せたいのでパフォーマンスをしているようだ。目立ちたがり屋のようだが仕事に関することでは際立って目立つところもなく、その願望も達成できないため、上司に反抗というパフォーマンスで仲間の喝采を浴びることに喜びを感じているのであろう。
一度じっくり話し合ってみることである。それでもダメならそのままにはせずに、就業規則に基づいて何らかの処置をしなければならない。いずれにせよ、放っておいてはいけない。
- Q 自分の給与の事ばかり気にして、周りとの協調性がなく、社内の風紀を乱す人間がいます。一応指示命令は守るのですが、陰で上司の批判をし、取引先などへも愚痴をこぼしている始末。どうにかならないでしょうか?
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A まずは、何故その人間がそのような行動をするのかを見極めてください。あなたが、その人間に対して他の人間と同じような態度で接し、何の落ち度がないにもかかわらずそのような行動をとっているのでしたら、厳重注意をし、それでも改まらないなら他の社員への影響が良くないですから、懲戒などの策を打つべきでしょう。
そうではなく、あなたの接し方に問題があるのならば、まずはあなた自身がその点を改めるべきでしょう。
そのために行なうことは、月並みですが面談による話し合いです。『月並み』ということは普遍的価値があるということ。
どこかの有名コンサルタント氏のような、奇をてらったアイディアだがすぐ消えてしまうような泡沫手法ではありません。じっくり取り組んで御覧なさい。
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【パートタイマーに関して】
- Q パートと通常の社員との区別がどうも良くわからない。法的にはどうなっているのだろう。パートたちのための法律は別にあるとも聞くが。
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A このテーマはこれまでにもたびたび取り上げてきたが、確かに複雑な内容を含んでいるので、よくわからないのも無理はないと思う。今回はパートに関する基本の基本について述べてみよう。
先ずは結論から述べるなら、呼称だけからの法的な違いは全くない。
違いがあるのは、通常の社員に比べて一定以上の短時間勤務の場合のみである。その場合には、例えば有給休暇の日数に差ができるとか、社会保険等の適用が無くなるなどの違いが生じてくる。
パートとは部分という意味であり、パートタイマーとは時間の部分を働く人のことであって、当初はこの意味が正しく理解されていた。そして意味が正しく理解されていれば、新しく制定された『短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律』も、「パートタイム労働法」と略称して何ら問題はなかった。
だが今日のパートの解釈に時間の長短は関係がなくなってきている。通常の社員と同じ時間帯を勤務するパートも多くなってきた。
ところがそれらの人たちを総ていっしょくたにしてパートと呼ぶところからややこしくもなり、問題も発生するようになった。
前記の法律なども、社会一般のパートの解釈は既に時間の長短は無関係になっているのに、相変わらず「パートタイム労働法」などと略称する人が多いし、役所まで追随してそう呼ぶものだから、ますます、「パート」というだけで通常社員とは異なる特別の存在、通常社員とは別扱いしてもよい存在と映るようになってきた。
その誤解がパート社員に対する待遇上の差別を生み、その上、当のパートたち自身にも、"自分たちは正社員より軽い存在なのだから、義務も責任も気楽なら欠勤も退社も自由なのだ"といった、とんでもない錯覚を起こさせる結果となっている。
正社員もパートも、名称からは法律上の身分に何ら差別区別はないし、そもそも法的にはパートなどという呼称すらない。したがって権利も平等なら義務も責任も平等だということを、先ず理解しておかねばならない。
- Q よく休むパートがいるので注意したところ、そういうことが自由に出来るからパートで勤めている、と、逆に文句を言われた。どんなものだろう。
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A 厳しく注意し、改まらないなら懲戒を考えてよい。
パートの問題といえば、労働者としての権利が守られていないことに関することが多いのだが、一般社員と同様の権利がある反面、同様の義務もある。権利を主張するなら義務も果たさなければならないのは当然。パートだからといって自由に休んでよいなどということはない。
この例ほどではなくとも、一般社員よりは比較的自由が許されると思っているパートさんたちは多く、いろいろなトラブルを生んでいるのは事実のようだ。
そのためにもぜひ労働契約書、あるいは雇い入れ通知書の作成交付をお勧めする。そこで定められた、一般社員より自由な内容については当然認めることになるが、それ以外は一般社員と同様に扱っていよい。
なお、混同しやすいこととして、例えば有給休暇や社会保険適用などにおいての短時間労働者の特例がある。これは短時間労働者の特例であって、一般社員とパートとを区別するものではないことに注意しなければならない。
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【人事考課】
- Q 人事考課は大変だと聞いている。でも少しずつやっていこうと思う。初めは簡単なチェック方法でゆこうと思うのだが、注意点などあれば教えてほしい。
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A 人事考課を本格的にやろうとするなら考課者訓練からスタートしなければならず、費用も労力も大変なのだが、先ずは簡単なチェック票でスタートするのも悪くはないだろう。
その場合には、以下のような点に注意するとよい。
イ、先の考課者の考課が見えるとそれに惑わされるから、先の考課者の考課は伏せること。
ロ、好悪の感情や先入観を排すること。
ハ、中心化傾向、つまり、真中に付けておけば無難だろうといった事なかれ主義を排すること。
ニ、ハロー効果、つまり、その者の特に優れた点、あるいは劣った点に惑わされて、他の総てに優れ、あるいは劣っていると判断してしまう錯覚を排すること。
ホ、対比誤差、つまり、つい自分と比較して判定してしまうくせを排すること。
へ、寛大化傾向、つまり、良い人と思われたいために誰にも高い点を付けてしまうといった、"良い上司"振ることを排すること。
以上だが、これは簡単チェック票での注意である。
本気で人事考課に取り組むのであれば、まだこの程度の心がまえでは済まないのだが、少しずつ高めてゆけばよいだろう。
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【人事制度】
- Q 今度ある人間を管理職に抜擢しようと思います。非常に知識もあり有能な人材です。何か注意する点があったら教えてください。
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A 管理職に抜擢する人間は人の心がわかる人間でなければなりません。知識云々は別の能力であり、管理職に直接必要な能力とはいえません。
そして、管理職に抜擢するにはトップの思いを忠実に理解している人間を登用すべきです。
この2点に注意すればよいのではないでしょうか。
大企業などでは、管理能力と知識や仕事能力とは別のものだということがかなり認識されてきており、昇進(役職が上がる)と昇格(各が上がる)を分けて捉えるようになってきていますが、中堅中小企業ではまだまだこの区別が明確でなく、単純に頭の良い者・仕事のできる者=管理職適格者とみなしているケースが多いようです。
頭の良いことは必要要件だとしても、必須要件ではありません。頭が良くても管理職不適格人間はたくさんいるものです。ましてや、仕事ができることは必要要件ですらないのです。
- Q 今回新人事制度を考えていくうえで気になったのですが、当社では慣例として、同じ仕事内容でも女性はすぐ辞める場合がほとんどだからという理由で男性よりも昇進が遅れがちで、現状では昇進しても係長が最高です。これは問題あるのでしょうか。
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A 勤続年数が短いなどの理由で女性を昇進させないことは均等法6条に違反します。他には例えば、その人個人の能力や能率の問題ではなく、当該事業所における女性労働者が一般的・平均的に能率が悪いことを理由として、女性を昇進から外すことなども男女差別に当たるとの行政解釈が出ています。
また判例において、就業規則によって「職員は性別などを理由として労働条件を差別されない」と規定されていたにも関らず、男性社員に対しては一定の勤続年数により自動的に昇格させているのに、女性にはこういう措置が採られておらず、結論として就業規則の規定および法秩序に反するとして女性社員の昇格請求権が認められたものもありますので注意して下さい。
- Q 昇給や昇格などの査定に能力主義を導入しようと思うのですが何か注意点はありますか?
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A ここでは大雑把な2点に絞って記しましょう。
一つは労働条件の不利益変更にならないように気をつけること。もう一つは組織としての団結力にヒビが入らないかどうかを慎重に見極めること。
言うまでもなく人間には心というものがありますから、そのあたりの微妙な綾を十二分に汲み取りながらの導入が大切です。
それを無視して、理論のみ先行のやり方では必ず失敗します。現に、ブームに乗って先走った企業の多くが、もう既に行き詰まっているようです。
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【社員研修】
- Q 今度入社してきた人間はなかなか有能で、会社としても期待しています。社会経験もあり、当社独自の技術的なことはともかく一般的なことは特に教育するほどの事もないと思うのですが、でも何かしっくりしません。何かが欠けている、何かを教えなければと思うのですがそれが分からないのです。
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A それは期待できますね。社会経験があるのならば、基本的な礼儀やマナーは身につけているのですね。ではこれからは、その人間のハートをあなたの会社の、そして会社が求める理想の色に染めるための教育をしてあげるとよいでしょう。
新入社員教育にも千差万別あり、基本的なマナーを教える事から始まって、次に経営理念や社是、社訓を理解させる。
そして仕事をする意味、当たり前にもらっている給与はほんとは何処から出ているのか?新人一人を雇うのに会社はどれだけの投資をしているのか?などなどを教える教育もあろう。
その中でもっとも大事なものは何か?
それは基本的なマナーや、仕事の流れ、仕事をする上で必要な知識などではない。大事なのはまず、経営理念や社是・社訓をしっかり理解させる事だ。
その事を理解している企業は、それを理解させるための教育を何日も何日もかけてやる。大きくなってゆく会社でのそんな新人教育を、たくさん手伝ってきた。
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【トップと経営】
- Q この不景気で一時はうちも危なくなりかかったが、たまたまあなたの著書『言志四録』を手に入れて読んでいら、何かこう感ずるものがあり、それから経営への姿勢を変えたら少しずつ良くなってきている。やはり目先のことばかりに気をとられているとこわいものですねー。
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A この会社は10年ほど前に私がコンサルティングをした中堅商社だが、その後代替わりをして現在の社長に代わってからはほとんど連絡が途絶えていた会社である。
つい最近ある会合で現在の社長と会う機会があった折りの、会話のひとこまだ。(社長の言う『言志四録』とはかなり以前に私が出した講談社版のものです。)
現社長は早くから、不景気対策として経理や財務面について税理士や公認会計士にアドバイスを受け、対処してきたが、どうも一時のカンフル剤にはなり得ても直ぐに元に戻ってしまい、根本的解決には至らないことに気が付いたという。
コンサルティングをしていた当時、先代は人事労務に関する小さな取るに足らない問題でも逐一報告してきてアドバイスを求めるような社長で、そんな姿勢が経営にも好結果をもたらし、急成長してきた。
しかし現社長に変わってからはそのような相談も激減した。問題が起きなくなったわけではない。問題が起きなくなったのなら致命的問題だが、そうではなく、現社長は当初、目先のお金対策には心を砕くが経営の柱石としての人対策、つまり従業員対策にはあまり関心のない経営者であったようだ。
金銭対策は直ぐに効果の現れるカンフル剤だから、どうしてもそちらに目が行きがちなのは理解出来るとしても、根本からの体質改善ともいうべき組織対策、人対策を怠ると、カンフル剤が切れた後、劣化した企業体質によって急速に業績が悪化するのは何も不景気時に限ったことではない。
会社の病気は個人の病気と同じである。病気になったら薬や手術で治療をするが、同時に根本的体質改善を図らないと再発を繰り返すことになる。そんな状態では再発する病気と戦うのに精一杯で、健康な体でより大きな飛躍を期することなど論外であろう。
現社長にもどうやらその辺が理解出来てきたようだ。そのことに私の著書が少しは役に立ったとあれば素直にうれしい。まだ若い社長だから肌で理解するまでにはもう少し経験が必要だろうけれど、どうやらこの不況くらいは乗り切れそうである。
- Q 中小企業ですが、トップが規律などにだらしがないため、結局取締役の私が規律にうるさくならざるを得ません。しかし、トップはそんな私を評価はしてくれず、むしろ部下たちと一緒になって煙たがっています。もう疲れました。どうしたらよいでしょうか?
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A なるほど。お悩みよくわかります。一番手っ取り早い解決法はあなたが独立される事かもしれません。
ただ、現実問題として、それは難しいでしょうから、まずは、もう一度トップとじっくり話し合ってみてはいかがでしょう。その中で、御2人の役割のようなもの、いわば職務分掌的なものを明確にされればお互い妙な遠慮などもなくなり、やり易くなるし、無意味な感情のすれ違いなどもなくなるのではないでしょうか。
ともあれ、組織の何たるかをわかっていらっしゃる方がトップに座った企業は強いものです。
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【契約期間社員と労務管理】
- Q 以前、勤務態度のきわめて悪い従業員を辞めさせようとしたところ、不当解雇だと役所に訴えられたり親会社に吹聴されたりと嫌な思いをしたので、1年契約で雇うことにしたのだがどんなものだろう。
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A それも一つの方法ではあろうが、実施するとすれば当然ながら長く定着して働こうという、意欲のある者は雇用できなくなるからそこを了解しなければなるまい。
実際に1年で辞めてもらってよいのなら問題はあるまいが、単に以前のような嫌な思いをしたくないからというだけであれば、対策としては後ろ向き過ぎるのではないか。
勤務態度云々の問題は就業規則などの規律の問題であり社員教育や指導如何の問題であり、またリーダーとしての努力の問題であって、先ずはその辺から対策を練るべきことを話し、当方も協力することにして早速規則の整備から着手した。
余談ながら従業員側が法律を盾にとって権利ばかりを主張するようになると、経営者側も対抗手段を考えなければならなくなり、この例のように、結果として労働者側はより以上に不利な待遇を甘受しなければならなくなるような社会になってくるのではないか。
近年の大手企業の、正社員を少なくして契約社員を大量に抱えようとする傾向は、単に不況対策としてのみでなく、煩わしい労働法に縛られることなく、1年経ったら気兼ねなく辞めさせられる魅力も大いに影響しているように思われる。
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【権利について】
- Q 出産のために休暇を取ったら、その間は給料がないといわれた。出産は女性にとっての大事であり、社会的にも意味があると思う。それを無給というのはおかしいと思う。
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A これもインターネットを通じての当方発信のメールマガジン読者からの相談である。
答えは 「あなたがおかしいと思うのは自由である。それを声にして社会を動かし、あるいは立法化を働きかけるのも自由。だが、自分がおかしいと思うことは皆もおかしいと思うはずだといった理論で行動することは止めた方がよい。このことに限らずとかく自分が正義だといった理論展開をする人間がいる。理論展開までは自由だが、その理論で事を起こすとなると見過ごすわけにはゆかない。
十人には十人の正義があり、百人には百人の正義があろう。各人の正義で社会を動かしたら社会はたちまち破滅する。自分の思いは、常に法や社会規範との繋がりの中で検討されなければならない。」とした。
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