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相談事例
退職金
|退職金と解雇|退職金の清算|退職金の支給基準|退職金の支給日|役員の退職金|
【退職金と解雇】
- Q 当社は就業規則違反で解雇のときは一定の割合で退職金を減額する定めになっている。この度、該当者が出たのだが事情により退職願いを出させて自主退職とし、退職金は減額せず、代わりに解雇手当は支払わないこととした。本人には有利になるのだが。
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A 結果としては本人に有利になるとしても、この処置は次の3点でよろしくない。
イ、解雇なのに退職願いを出させて自主退職扱いにしたこと。解雇については法でも重要視していくつかの定めをしているが、解雇なのに自主退職とすることは、初めからそれらの全てを無視、もしくは違反したことになる。
ロ、せっかく就業規則に定めてあるのに例外を作ったこと。やさしい経営者ほどこのようなことをしがちである。杓子定規な守り方も決して良くはないが、簡単に例外を作るのはもっと罪が重く、そのような経営者のもとに強力な組織は生まれない。
ハ、解雇手当を支払わないとしたこと。退職願いを出させても解雇は解雇であり、解雇手当と退職金は別性質のものである。たとえ退職金をたくさん支払ったとしても、それで解雇手当の支払いが免除になるものではなく、実態が解雇である以上、解雇手当もしくは解雇予告が必要である。(解雇予告除外申請が監督署に認められれば別であるが)
- Q 当社の就業規則では懲戒解雇をした者には退職金は支払わない制度になっている。これまでは特に疑問も感じなかったが、今回20年も勤めた人が懲戒解雇となり、退職金が不支給となった。人事担当者としては何だか可哀想な気もするが。
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A これは当方顧問先からの質問ではなく、メールを通じての質問である。
答えは 『心情的には可哀想かもしれないが、解雇と退職金不支給が明確に定められており、双方の関連性に客観的合理性があるのなら法的には問題ない。労務管理上からアドバイスするなら短絡的に不支給とするのでなく、賞罰委員会の議を経て決定するようなクッションを設けておくとよいかもしれないが、そうすると今度はやたらに例外が生れ、規則そのものの存在意義がなくなるかもしれない。
就業規則そのものはこのままとし、賞罰規定のようなものを別に設けてある程度細かく対応、といったやり方はどうだろう。そんなことを検討して提案してみるのも人事担当者の大事な役目、腕の見せ所だから。』 とした。
- Q 務引継ぎもしないで勝手に辞めた者がいる。そのため会社は損害を被ったので、退職金を支払わなかった。そしたら裁判ざたにするという。どうしたものか。
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A やはり以前に似たような相談事を取り上げたように思うが、この問題はやっかいだ。事例が多いので判例も多くあるが結論は分かれている。会社側に軍配を上げたケースから反対のケースまで様々。
要するにそれぞれの内容によってケースバイケースに判断されるということだが、大切なことは何といっても就業規則にきちんと定めておくことである。その前提がないと裁判でも、また民法による損害賠償請求においても有利に立つことは難しい。
付記するなら、就業規則にきちんと定められ、それが周知されていれば、労働者側も辞めるときそれを考慮して行動できる。就業規則をきちんとすることは、労使双方に高い価値をもたらしてくれるということだ。
- Q 当社就業規則には「懲戒解雇処分をした場合には退職金を不支給とする」と定めてあります。先日、一身上の都合で退職した人間が、在職中にとんでもない失態をやらかしていた事が発覚し、会社が多大な損害を被りました。本人はその事について深く反省しているため、懲戒処分にするつもりはありませんが、退職金については、減額もしくは不支給にしたいと考えています。何か問題はありますか?
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A 問題あります。就業規則にそのような定めをしている以上、原則として、懲戒解雇処分をしない限り、退職金の減額または不支給はできません。在職中の失態であれば、遡って懲戒解雇処分にもできますので、御社の場合、その手続きを踏まない限り、退職金の減額、もしくは不支給処分には原則できません。
これを機に就業規則の退職金の規定を修正しておいた方が良いでしょう。たとえば、「懲戒解雇事由に該当する行為のあった時、もしくは退職後に懲戒解雇事由に該当する行為のあったことが判明した時には、退職金を不支給とする」などと定めておけば、今回のような場合でも、その失態が御社の懲戒解雇事由に該当するのであれば、問題なく退職金の減額、もしくは不支給処分にすることが可能となります。
- Q 引継ぎもしないまま勝手に辞めた者が退職金の支払いを請求してきた。取引先への迷惑や規律違反など、たび重なる行為にも目をつむってきたのに、許せない気持ち。退職金は支払うべきなのだろうか。
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A 双方の言い分を聞かずに軽々な判断は出来ないが、これまでの当人の行為のために会社が被った被害は甚大だということで、経営者の言い分が正しいとすれば腹が立つのも充分理解できる。
労働法そのものが労働者甘やかし法になってしまった今日、自分の義務など考えようともせず、権利ばかりを主張するこのような輩が現代日本には充満しつつある。由々しき一大事といっても過言ではない。私のもう一つの専門である歴史の教訓からしても、このような国家は弱体化の一途をたどり、やがて自滅している。
と、私が経営者と一緒になって愚痴を言っても始まらないのだが、法的にはいくつかの問題がある。
問題点の一つは、「たび重なる違反や背信行為に目をつむってきた」ということ。法的な判断基準としては、当人は一体どのような違反や背信行為をしてきて、それを会社はどう処分し、どう注意して矯正の努力をしてきたか、といったことが大切で、それがあってこそ「にもかかわらず・・・」という判断が成り立つのだが、「目をつむって」しまってはそれが不明であり、証拠となるものもない。
次に、退職金規定がどうなっているかということなのだが、この会社は生命保険会社と契約をして退職金制度を構築しており、生命保険会社がその規定を作成している。このような場合、一般に生保会社は労務管理など考えずに単純に作成してしまうから、このケースのような場合には対応できない文面になっている場合が多い。もしそうなっていると規定に従った支払いをせざるを得なくなる。
経営者の言によると、これこれの場合は退職金は出ないよと、みんなには言ってあるということだが、口頭で言ったことがあるという程度であるらしく、全く価値がないというわけではないにしても、まずほとんど意味をなすまい。
就業規則を中心とした退職金規定や給与規定などを軽く考え、適当な扱いをしていると大抵こうなる。それらは会社の土台であり会社を支える一本一本の柱である。 本来は桐の箱に納めて床の間に飾るほどの、家宝ならぬ会社宝である自覚がなければならない。
倒産した会社を調査してもそのほとんどがこの土台や柱が無いか、有っても無いが如しであった。それは、規則そのものの問題というよりは、就業規則という人間に関する物事を安易に考え軽視して、金銭的なことしか頭にない、経営者の経営姿勢とか経営課題に対する価値観の問題なのだろう。
また、当人が監督署に訴えたとき、役人は退職金はもらえるとか、退職金積み立て先を聞くとよいなどとアドバイスをしたそうだが、もし本当なら、事情も調査せずに勝手なことを言うなとその役人を突き上げたらよい。だがおそらくはそうではあるまい。人間は自分の都合のよいように解釈するのが常だから、役人の言葉を自分に都合のよいように解釈して、会社に言ってきているだけだろう。監督署が会社に非があると判断すれば、会社担当者の話も聞くための行動を起こす筈だからである。
もう一つ、会社側からの損害賠償請求の問題がある。たび重なるという当人の違反や背信行為により会社が被った損害に対し、当人に賠償を求めることの出来る権利だ。もちろんこのことにもそれなりの証拠が要る。どのような行為によってどのような損害を被ったかという具体的なことであるが、そもそも「目をつむって」きてしまったとすれば、はたしてその立証は出来るのだろうかという心配が残る。
ともあれ、当人は次第によっては訴える腹らしいということだが、事態がそうなるとその解決には外科医、つまり弁護士の範疇になる。もっと前の段階で、例えば退職金制度を生保会社に委託することなども含めて、こういうことをする、ああいうことをしたいという一つ一つの段階から相談されれば、私たちによる内科医的な処方で、あるいは漢方薬による体質改善的処置で、事前に、かつ未然に、防ぐことも出来るのだが。
この問題は、会社側からの損害賠償のことも含めて、当方グループの有能な弁護士さんに依頼して、決の歩を進めることとした。
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【退職金の清算】
- Q 経営政策上、全従業員にここでいったん退職金を支払ってしまいたい。何か問題はないだろうか。
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A 近年の経営環境を取り巻く問題改善のための対策らしいが、いろいろ考慮しなければならない問題がある。
先ず、退職金については労働法上の制限はないから、退職金規定や労働協約などで定めた決まりに従えばよいのであるが、注意すべきはその定めがどうなっているかだ。そのような処置をするからにはその内容に沿った定めがなければならない。次にその処置が不利益変更(処分)に当たらないような配慮が必要だ。単純に会社の都合ばかりを考えて処置をすると不利益変更(処分)と取られる恐れもあるので気をつけなければならない。
またよくあるケースに、いったん全員退職として退職金を支払って、その後再雇用したことにして、という事がある。
この方法だとその退職が解雇と見なされる恐れもあるし、再雇用後の退職金はどうするのかという問題も出てくる。
定めがあいまいだと再雇用後ふたたび退職金が発生することにもなるし、再雇用の仕方によっては勤続年数を再雇用前から通算しなければならなくなったりもする。ともかく安易に考えて処置をすると手痛いしっぺ返しがあるということだ。
- Q 事情によりいったん退職金を支払って全員を解雇し、すぐに再雇用する場合、どんなことに注意したらよいだろう。再雇用後の退職金は新しい制度によって運用する。
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A
イ、解雇は解雇なので、1ヶ月前の予告はきちんと行っておくこと。
ロ、旧体制と新体制の違いその他について、従業員たちへの説明をきちんとしておくこと。
ハ、特に不利益変更にならないよう、配慮すること。そのためにもきちんとした説明が必要。
ニ、労働契約書あるいは雇い入れ通知書の交付をきちんとして、後々のトラブル防止に注意する事。
おおむね以上に注意すればよいだろう。
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【退職金の支給基準】
- Q 退職金についての定めをしようと思うが、何年目から支給すればよいのか。1年目から支給が普通と聞いたが。
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A 会社の定めによって何年目からの支給でもよい。
労働法には退職についての規定はあるが、退職金についての規定はない。したがって支給も不支給も何年目からにするかも、その内容も、それぞれの会社の事情によって定めてよいことになっている。一般の例を言うなら中小企業の場合は満3年経過後からというケースが非常に多い。
なお、会社の事情によってとは言ってもあまりに社会常識に反するなら問題だし、民法など他の法律に抵触する内容なら違法の恐れもあるので、定めるにあたっては細心の注意が必要ではある。
また、確定拠出型年金制も導入されることとなったこれからは、退職金に対する考え方も大きく様変わりしてくることが予想される。
- Q うちでは、退職金も賞与も残業手当も全て基本給をベースにして計算しているが、それではまずいのだろうか。
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A 退職金や賞与には、支給枠や計算方法について特別な法的規制はないので、それでOKである。
しかし残業手当についてはそれでは違法。残業手当に関しては労働法で、基本給のほかに計算基礎として算入すべき給与や手当、計算方法などが定められており、それらを守ることが義務づけられている。実際には会社ごとの給与や手当の種類とその内容によって判断する必要があり、ケースバイケースとなる。
- Q 当社は10人未満の会社で就業規則などはなく、退職金は社長のポケットマネーにより、いわばどんぶり勘定で支払われています。ここ数年は景気が悪いため、先日退職した人間には退職金を支払いませんでした。特に問題はないですよね?
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A 問題ないとは言えません。今まで退職金を支払っており、その事実を従業員が知っているようであるならば、それが職場の慣行と見られかねないからです。そうなると、たとえ就業規則などに明確に規定していなくても、立派な職場の規則と判断される場合があります。
そのような事にならないためにも、退職金に限らず、職場の規則をしっかりと明確に定めておくことを、お勧めします。
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【退職金の支給日】
- Q 定年退職した社員から、どうしても必要なので退職金をすぐに払ってほしいと言われました。何でも退職後7日以内に払わなければ法律違反だというのですが本当なのでしょうか。
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A 先ずは、退職金を恩恵的なものとして取り扱っているのか、賃金として取り扱っているのか、から判断しなくてはならない。
賃金として取り扱っているのならその通りだが、一般には恩恵的なものとして取り扱っているケースがほとんどであり、その場合には労働基準法23条1項の支払期日の制限は受けない。つまり請求があった場合には7日以内に支払わなくてはならない、といった義務はない。退職金規程に定められた日に支払えばよいということである。
ちなみに、ここで言う権利者とは、退職の場合は労働者本人、死亡の場合は労働者の遺産相続人であって、一般債権者は含まれないこと。ならびに賃金支払請求権の消滅時効期間は2年間であるが、退職金支払請求権の消滅時効期間は5年間であることを付記しておく。
- Q 先日退社した人から退職手当を1週間以内に支払って欲しいと言われました。でもそんな大金はすぐに用意できません。しばらく払わなくても大丈夫でしょうか?
なお、退職金については慣習としてこれまでも支給しており、その計算式も決めてはあるのだが、退職金規定とか就業規則とかは定めていない。
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A 先ず、退職金の支給については法律上は任意であって、退職金規定などで支給すると定めることによって義務となる性質のものであることを述べておく。
ただし今回のように、慣習として支給されてきた場合は、言わば慣習規定が存在すると解されるから、支給義務が発生する。
さて、質問への解答であるが、労働者の死亡や退職の場合、労働者等の請求があった場合に労働者の権利に属する金品を7日以内に返還しなければならないとなっている。しかし、退職手当に関しては、例外としてあらかじめ就業規則で定められた支払時期に支払えばよいと決まっているので、就業規則で定められていれば、その期日迄に支払えばよいことなる。
今回のケースでは、この社長は就業規則を定めていなかったので、他の金品同様に、7日以内に支払わなければならなかった。就業規則を定めていないことはこのように会社に大きな負担をあたえる。何度も言っているが、就業規則は会社の土台となる大切なものである。就業規則のない会社はもちろん、ある会社でももう一度見直して、会社を守るための就業規則の整備をすすめることが重要であろう。
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【役員の退職金】
- Q 先代の時から長年貢献してくれた役員が退職することになった。一応の規定はあるのでそれに従うことになるが、一般にはどうなのだろう。
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A 先ず、純粋な役員つまり取締役であれば労働法でいう労働者ではないから労働法の適用は受けないことを述べておく。退職金は一般労働者に対するものでも労働法の外なのだが、規定などを制定すればその範囲で労働法の対象となるのに対し、取締役の場合は規定そのものも対象外。
そこで退職慰労金などという形で支給されるのが一般的だ。あくまでも慰労金という性格付けである。
そのような性格だから計算方式もまちまちだが、客観的に見て妥当とされる以上の金額の場合は税法上損金計上が認められないことがあるので要注意である。
具体的計算は、報酬月額に役職ポスト別係数を乗じ、役員在任期間を乗じて、さらに在任中の功績を数値化したものを乗ずる、などのケースが多い。
なお、役員と従業員を兼ねる者については、本来は従業員としての退職金と、役員としての慰労金を別々に計算するのだが、実際には面倒だし、そもそも賃金を区分けしていないので計算できないなどの理由で、どちらか一本で出しているところが多いようだ。
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